以前、日本株を配当再投資した場合、その利回りは市場をアウトパフォームするのかという点を日本たばこ産業(JT)を題材に検討しました。

今回は、JTと同じく強固なキャッシュフローを持ち、高い配当を長年維持している日本の大手通信インフラ企業KDDIを取り上げ、配当再投資を継続した場合の利回りを試算しました。

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日本株の配当再投資戦略:KDDI編

KDDIの近年の業績と株価

KDDIは誰もが知るauブランドを有する日本の通信事業大手です。売り上げも年々増加傾向であり、それに伴いEPSも堅調に増加しています。配当性向も近年は30%代後半で推移しています。配当自体は16年連続増配を継続中で、配当利回りは7月末で約3%です。配当利回りが突出して高いわけではないですが、増配も安定しており、今のところほとんど減配の心配もないかと思います。

株価は、きれいな上昇トレンドを維持しており、順調に伸びていっています。

 KDDI売上
KDDI EPS
KDDI配当

 日本の人口が減少していっても、もはやスマートフォンは生活必需品となっており、寡占市場である通信分野でのキャッシュフローが大きく減ることもないでしょう。

余談ですが、今回KDDIの投資家情報ページをみて非常に好感が持てました。エクセルでの情報のダウンロード、見やすいUI、情報検索のしやすさと今まで見た企業の中ではトップクラスに充実していました。こういう企業が増えてくるといいですね。

日本株で配当再投資戦略は成り立つか

アメリカの高配当株を購入し、配当を再投資することで運用利回りの最大化を目指す手法は、シーゲル教授の「株式投資の未来」をバイブルに、多くの個人投資家に人気を博しています。

著者は、多くの伝統的ブランドを持ち、安定的にキャッシュを生み出す源泉を持つ企業でかつ、高配当の銘柄(結果的に高配当であることも多い)を選定・投資することで、長期の利回りにおいてインデックス投資をアウトパフォームできる確率が高いと述べています。

安定的にキャッシュを生み出す源泉を持つ企業という点に着目すれば、日本の市場においても該当する銘柄は存在しますが、実際、そのような企業に投資し、配当を再投資した場合、いったいどの程度の利回りを出せるのでしょうか。

KDDIの長期積み立て投資利回り計算条件

今回、下記の条件を設定して利回り計算をしてみました。

① 毎年1月31日終値で、40万円で購入できる株数を購入する。

② もし、40万円で購入できない場合でも100株だけでも必ず購入する。

③ 配当は翌年の購入原資とする。

④ 配当は20%の税引き後で計算する。

⑤ 投資の開始時期は2008年と2004年の2通りを計算。

最終評価用株価は3000円で計算。

なぜこんなめんどくさい計算するかというと、日本の株式市場は最低売買単元株数が100株であることがほとんどであり、最低投資額が高いからです。

アメリカは1株から購入できるので積み立て投資が行いやすくなっています。一方、日本はようやく最低単元を100株にするようになってきたところであり、いろいろ勉強すればするほどアメリカという国がいかに投資環境が整っているかということを痛感させられます。ただ日本でもミニ株という制度を用いて1株から株を購入できる証券会社もありますので興味がある方は調べてみてください。

KDDIの長期積み立て投資利回り試算結果

話はそれましたが、実際に検証した結果を見てみましょう。

 KDDIリターン

2004年からの6.1%、2008年からで6.8%という結果でした。リーマン直前からのスタートとその前からの投資ではそんなに結果が変わりませんでしたね。日経225のインデックスファンドが15年間の平均利回りが7%、TOPIXが5.3%(投信アシストより)なので、KDDIでは、配当再投資しても利回りが大きくアウトパフォームすることはなさそうです。かといってアンダーパフォームもしてません。

TOPIXの平均配当利回りは1.9~2.0%、日経平均の平均配当利回りが1.6~1.8%なので、配当が安定しているからと言っても、利率が平均より少しいい程度では配当再投資戦略をとっても大きく成績が伸びないのかもしれません。KDDIもJT同様、配当以外に株主優待があるので実際のお得感はこれにプラスしてあると思います(au WALLET Market商品カタログギフト)。

投資妙味のない日本株といわれても…

日本株への投資は成長性が低いというイメージがあり、計算する前はもっと利回りが低いかと思っていましたが、2012年からの政権交代も功を奏しており、イメージより利回りは高かったです。

ただ、今後政権が変わった際も同様の金融・経済安定性が維持できるかわからないところが日本のだめなところ。金融リテラシーが低く、国民ももっと金融政策に高い意識を持つようにならなければ、人口減少待ったなしの日本への投資は不安が生じてしまいますね。

しかし、そういうときほど配当の高い株は活躍するでしょうし、今後日本株への長期投資を考えている人はこういった銘柄についてもきちんと考慮するべきでしょう。

次回以降は、同様に高いキャッシュフローを持つ高配当銘柄であるキャノンやNTTドコモでも試算してみたいと思います。

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