株式投資の未来

株式投資の未来

 「株式投資の未来~永続する会社が本当の利益をもたらす~」はペンシルベニア大学のジェレミー・シーゲル教授が過去200年のアメリカの株式を分析し、本当に株式投資で利益を上げるためにはどのような銘柄が良好な成績を残せるかを明らかにした名著です。

 米国における過去200年の銘柄分析から、高配当銘柄を選定し、配当を再投資し続ける配当再投資戦略が市場平均を最もアウトパフォームする成績を残していたと明らかにした本書は、米国株式投資家から大きな支持を得ており、バイブルとして慕われています。

 本書は上記の配当再投資戦略がフォーカスされることが多いのですが、実はそのほかの株式投資における根源的な事実が多く語られており、今後本書で語られている内容を題材に、記事をシリーズものとして書いていきたいと思います。今回はそのシリーズ第1本目です。

永続する会社が利益をもたらす~成長の罠~

 1957年にS&P500の指数が作られて以来、新たに採用された数百の銘柄の運用成績は、平均すると当初の500銘柄の運用成績を下回ります。そして、運用上位銘柄は古くから存在する大企業が多くがランクインしています。

 S&P500の運用上位銘柄に共通することは、米国内はもとより世界中の市場で強力なブランドを育てることに成功した点であり、このような消費者に信頼されるブランドネームを確立した企業は、競合他社に比べて価格帯を高く設定でき、結果的に投資家への利益還元が高くなると記されています。

 高配当銘柄の配当再投資戦略においては、ただ単に時の高配当銘柄を選ぶのではなく、長い会社の歴史と高いキャッシュフローを維持している大企業を選ぶべきとしています。

 ここまでは配当再投資戦略に通じる話ですが、本の中では新進気鋭の新興銘柄がなぜ高いリターンパフォーマンスを出せないかにも触れられています。ここがあまりみんなに触れられていない点です。

 「株式の長期的なリターンは増益率そのものでなく、実際の増益率と投資家の期待との格差できまる」この当たり前のようで忘れがちな事実が非常に重要なわけです。

 IBMとエクソンモービルの違いがその典型例として詳細に記されています。IBMは力強く利益を伸ばしてきたのに対し、エクソンモービルは増益率で圧倒的にIBMに及びませんでした。しかし、リターンはIBMのほうが上回っていたのです。

 本の中で語られている大事な点はバリュエーションはどんなときにも物を言うということです。

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Amazonへの投資をどう考えるか

 ここからは私見です。

 もちろん成長株では主にPERだけではバリュエーションを判断できません。AmazonPER100倍以上です。成長株のバリュエーション判断の指標には、一株当たりの本業利益と予想成長率から算出されるPEGレシオと呼ばれるものがあり、これで評価するとAmazonは成長企業として適正な株価であるとする記事を見かけます。

ここで考えなければならないのはこの指標には予想成長率と呼ばれる未来のファクターが入っていることです。結果的にこれまでAmazonは投資家に巨大なリターンをもたらしてきました。これは紛れもない真実です。しかし、未来10年にわたるAmazonの成長率を正確に予想できる人がいるのでしょうか。Amazonが投資家の期待から少しでも逸脱したとき、株価は暴落するはずです。

長期投資において未来というかなり不確実性の高い指標を用いるのはリスキーだと考えます。もちろん過去は未来を表わさないのも事実です。しかし、Amazonはたまたま投資家の予想にこたえられただけでこのような新興企業が未来にわたり投資家の期待に応えられる保証はないのです。バリュエーションを加味すれば、老舗の優良企業に長期投資の命運を託すのは理にかなっていると思われます。

 もし、新興企業の成長を安定してリターンに織り込みたいならS&P500などの指数連動型のETFへの投資で十分と私は考えています。もちろん、Amazonを個別に購入するほどの爆発力はないですが、長期でのパフォーマンスは安定するはずです。

 ただいずれAmazonは先に示した強いブランドを有した優良企業と同等の扱いにはなると思います。EC市場におけるAmazonプラットフォームはすでに高い独占性を持ち始めており、またクラウド事業において高い収益性を確固たるものにしてきているからです。2018年時点では、巨大になった今でも利益よりも投資による事業拡大を優先している成長企業であり、長期投資に向いた成熟安定企業になるのはまだ少し先の話でしょう。

 次回以降も「株式投資の未来」の内容を題材に記事を書いていきたいと思います。

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