以前、日本株を配当再投資した場合、その利回りは市場をアウトパフォームするのかという点を日本たばこ産業(JT)、を題材に検討しました。
 
今回は、JTと同じく強固なキャッシュフローを持ち、高い配当を長年維持している日本の大手電気機器メーカーキヤノン(CANON)を取り上げ、配当再投資を継続した場合の利回りを試算しました。
 
ちなみに余談ですが、正式にはキャノンではなくキヤノンです。”ヤ“は大文字です。
 
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キヤノンの近年の業績と株価

キヤノンは、カメラ、事務機器の最大手で、複合機などのオフィス機器で世界トップクラスのシェアを獲得しています。また、一眼レフはシェア5割超で、半導体・液晶露光装置、監視カメラも展開しています。
 
業績は堅調に推移していますが、成長市場であるアジアはサムスンなどに獲られているため、大きく業績が伸びているわけではありません。ただし、株主還元には積極的で、配当性向は50%を超えているなど、配当性向がおおむね30%である日本市場では珍しい存在です。
 
配当金自体は29年間一度も減配しておらず、配当利回りも3.5~4.5%と日本を代表する高配当銘柄になります。
 

キヤノン業績推移
キヤノン配当金推移

日本株で配当再投資戦略は成り立つか

バフェット流に言うと深い堀を事業として持ち、安定したキャッシュフローを源泉に高い配当利回りを維持してくれるような企業を選択し長期投資するいわゆる配当再投資戦略は、S&P500に連動するインデックス投資を利回りで上回る可能性のある投資手法として、主に米国株を対象として人気です。
 
一方、日本株においては米国ほど株主還元の意識が高くなく、容易に減配などを行うことから、本手法は人気とは言えない状況です。
 
ただ、日本国内でも高配当を維持している企業は多く、配当を高いレベルで維持している企業に積み立て投資を行った場合にどのような利回りになるのでしょうか。
 
キヤノンを対象に配当再投資込みの利回りを計算してみました。

長期積立投資の利回り計算条件

① 毎年40万円で購入できる株数を購入する。
② もし、40万円で購入できない場合でも100株だけでも必ず購入する。
③ 配当は翌年の購入原資とする。
④ 配当は20%の税引き後で計算する。
⑤ 投資の開始時期は2008年とする(リーマンショックなどがあった時を想定するため)。
⑥ 最終評価用株価は3500円で計算
なぜこんなめんどくさい計算するかというと、日本の株式市場は最低売買単元株数が100株であることがほとんどであり、最低投資額が高いからです。
 
アメリカは1株から購入できるので積み立て投資が行いやすくなっています。一方、日本はようやく最低単元を100株にするようになってきたところであり、いろいろ勉強すればするほどアメリカという国がいかに投資環境が整っているかということを痛感させられます。
 
ただ日本でもミニ株という制度を用いて1株から株を購入できる証券会社もありますので興味がある方は調べてみてください。若干手数料が高い・取引価格が通常とわずかに異なるなどでメリットもありますが、最低単元未満で購入できるのは非常に魅力的です。
(参考:SBI証券S株制度)

積立投資の試算結果

話はそれましたが、実際に検証した結果を見てみましょう。

キヤノン利回り_40万パターン

2008年からで2.0%という結果でした。日経225のインデックスファンドが15年間の平均利回りが7%、TOPIXが5.3%(https://toshin-assist.jp/index、投信アシストより)なので、キヤノンでは、配当再投資しても利回りが大きくアウトパフォームすることはなさそうです。
 
むしろアンダーパフォームしてしまっています。
 
この要因として、最低購入価格が高く、一回当たありの買い付け額を40万円とすると、ドルコスト平均法による積み立てができないことが一因として挙げられます。
 
その結果、株価が下がっていても購入株数を上げることができず、結果として株価低迷時の購入によるキャピタルゲインのブースター効果が出ていません。
 
もちろん、単純に株価の上昇がいまいちというのが主因ではありますが。
そこでミニ株制度を利用して、単元未満株を購入できる制度を利用した際の利回りを計算してみました。
 
すると利回りがわずかに改善される傾向が出ています。その差は5%と馬鹿にできません。先ほども述べたように、日本株は最低単元が100株と多く、積み立て投資するには、一般の積み立て投資設定ではドルコスト平均法のメリットが出にくいという弱点がもろに出てしまいます。
 
特にキヤノンのように株価が右肩上がりの上昇を描いていない銘柄ではこの傾向が顕著に出てしまいます。とはいえ、あまりリターンが高くないのは事実です。

キヤノン利回り_ミニ株パターン

日本株の配当再投資戦略はベテラン向け

これまでJT,KDDI,キヤノンと日本で有名な高配当株式を取り上げ、配当再投資戦略の有効性を検証してきました。
 
結果、日本において配当再投資をする場合、特別市場平均をアウトパフォームすることはなさそうです。
 
アメリカの場合、配当を自動で再投資してくれるので配当にかかる税金を節税できるのもかなり大きそうです。
 
日本で高配当銘柄をポートフォリオに組み込む場合、リターンよりもリスク調整用の低リスク銘柄として組み込み、インカムゲインによる安定した不労所得をえるために採用するのがいいでしょう。
 
よって、若者よりもある程度資産を築いたベテラン向けのの投資手法なのではないでしょうか。
 

配当再投資関連の記事です。その他の日本企業に関しても検証しています。

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