株式投資の未来

 

「株式投資の未来~永続する会社が本当の利益をもたらす~」はペンシルべニア大学のジェレミー・シーゲル教授が過去200年のアメリカの株式を分析し、本当に株式投資で利益を上げるためにはどのような銘柄が良好な成績を残せるかを明らかにした名著です。

 

米国における過去200年の銘柄分析から、高配当銘柄を選定し、配当を再投資し続ける配当再投資戦略が市場平均を最もアウトパフォームする成績を残していたと明らかにした本書は、米国株式投資家から大きな支持を得ており、バイブルとして慕われています。


本書は上記の配当再投資戦略がフォーカスされることが多いのですが、実はそのほかの株式投資における根源的な事実が多く語られています。今後本書で語られている内容を題材に、記事をシリーズものとして書いていきたいと思います。今回はそのシリーズ第2回です。

資本を食う豚~テクノロジー:生産性の源泉にして価値の破壊者~

投資家の世界では、新製品や新技術の開発に第1 段階から参加できれば、金持ちになれる。新たな何かを発明し、新たな何かを発見した新たな会社の株を買えば、偉大な企業が育つとともに自分の財産も育つ。

 

このような一般通念は間違いで、投資家にとって経済の成長と利益の成長は別物。それどころか、テクノロジーによる生産性の向上が利益を破壊し、株価の急落につながることさえあると本には記されています。

 

生産性の改善という非常にポジティブなワードも、こと投資の観点から見れば必ずしもいいことではないということを述べています。

 

これはよく考えてみれば当然で、生産性の改善にも2種の方法が存在し、その種類を見誤るなということです。

 

生産性の改善には、単純に新技術による生産性の改善と技術革新による生産性の改善があります。ここでいう技術の中には経営方法なども含まれます。前者は、非常に生じる頻度は高いのですが、競合他社も対抗可能であり、いろいろな方法論でいずれ追いつくことができるものです。このような場合、結局は業界全体でいずれコスト水準が低下し、利益は逆に圧迫されることになります。会社の利益に結び付きません。一方、後者は、生産性向上の効果が絶大で、競合他社も容易に追いつくことはできず、競争優位性を高く保つことできます。このような場合、コスト競争に陥ることもなく、企業は高い利益を確保できることになるのです。

 

つまり、生産性改善の効果を投資家視点で見るか消費者視点で見るかによって得られる結論が異なるということになるのです。消費者視点で見れば、前者はこれまでと同じものを安く購入することできるようになりますが、後者は極論を言えば何の変化も感じないかもしれません。

 

生産性の向上は、得てして前者であることが多いのが事実です。本の中では、設備投資対売上比率に基づきS&P500の銘柄を3つのグループ(設備投資比率大・中・小)に分け、その投資リターンを比較しています。その結果、設備投資比率の高いグループほどリターンが低下するということが記されています。

 

生産性改善の方法論~経営方法か新技術か~

 

ここからは私見です。

 

生産性の改善は日本でもよく取り扱われるキーワードです。ここで感じたのは日本の企業はおそらく前者の改善がおそろしく得意な反面、後者が苦手であるということです。

 

日本は、アメリカが開発したものをベースに小型化・低コスト化することで経済発展を遂げてきました。まだ改善の余地があるうちはよかったのですが、いよいよ小型化・低コスト化に限界を迎えてくると、じり貧な戦いを強いられています。

 

一方、生産性の改善方法には、技術だけでなく経営手法もあります。技術ではなく、経営方法により人の力を最大化し、また独自の戦略で低コストを実現する。もしかしたら、欧米に遅れること20年、日本全体でこのステージにようやく来ているのかもしれません。

 

これまでの方法論では消費者メリットがあっても投資家メリットがどうしても少なかった日本において、ここからの10年は勝負の年となるでしょう。

 

高齢化、人口減少などの環境的要因に加え、働き方改革政策などの政治的要因によって強制的に変革を迫られている日本では、ある種、ドラゴンボールの精神と時の部屋に入れられた状態なのかもしれません。ここから、一度死にかけることによって強くなるサイヤ人ばりに強制的に強くなる可能性があるのではないかと期待しています。

 

東洋経済によれば、先進国の例をみると、企業数と人口の間には一定の相関が認められます。日本でも、戦後、人口が増加するのに伴い、企業数も大きく増加しました。しかし日本はこれから数十年にわたって、生産年齢人口がものすごいスピードで減っていきます。つまり、経済の原則に従えば、企業数も圧倒的な速度で淘汰されていくはずです。

 

このような自然淘汰の摂理が働けば、技術革新を達成できた企業、革新的な経営戦略をとることができた企業のみが生き残ることができ、結果的に日本経済には強い会社しか残れないのではないでしょうか。

 

そうなれば、日本企業の投資リターンは必然的に高まるのではないかと考えているのです。ただ、その企業は、これまで以上の企業の屍の上に存在することになるので、日本株の長期投資家には企業選定に慎重な判断が求められるはずです。

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