元本保証とは、銀行預金のように、運用期間すべてにわたり元本の額が減らない(元本割れしない)ことを金融商品に保証することである。

元本保証というのは日本人に非常に人気のある言葉ですね。劇的な経済成長をしていた当時の日本では、銀行預金などの元本保証の金融資産でも十分な利回りが期待でき、素人でも簡単に資産形成することができました。

昭和55年の郵貯利回り

写真を見てもらえばわかる通り、昭和55年当時の郵便貯金の利回りは10年物の定額貯金で年利11.9%という今では考えられない数字になっています。

今でも貯蓄型の保険など元本保証という名目で数多くの金融商品が売られています。

今回はこの”元本保証”の価値が一体どれくらいあるのか?実際に元本保証の商品はお得なのか考えてみたいと思います。

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元本保証の価値はどれくらいか

金融用語に”リスクフリーレート”という言葉があります。これは、国債のような比較的リスクのない、もしくはほとんどリスクのない無リスク金利商品の期待利回りのことです。

投資家は無リスク金利にどれだけ利回りをプラスされれば、リスクのある投資商品を買う気になるのかという、その上乗せ部分がリスクプレミアムとよばれるレートになります。

元本保証の商品というのはリスクという観点からみれば”0”なので、リスクプレミアムはありません。なので、このリスクフリーレートを下回っていれば投資先として魅力がないということになります。

一般にリスクフリーレートの参考にされるのは国債で、中でも10年物の国債の利回りが標準的な値として採用されることが多いようです。

執筆時の利回りで、個人向け国債変動10年ものの利回りは0.05%となっているのでこれが一つの目安となる利回りということです。(正確には個人向けではなく日本国債10年の利回りで比較すべきですがマイナス金利なので今回はあえての個人向け国債での比較です。)

元本保証の投資先の利回りを見てみる

では一体元本保証の投資先の利回りがどうなっているのでしょうか。

まずは最も一般的な元本保証の投資先の代表である銀行への預貯金です。

銀行への預貯金

2019年の時点で預貯金の利率は、メガバンクで0.01%、特定の条件を満たすことで利率が優遇されるような銀行で0.2%程度となっています。リスクフリーレートが0.05%なのでまぁこんなもんなのかなという気がします。

リスクフリーレートである利回り0.05%との差は、例えばメガバンクなどでは資金を長期間拘束しないというリスク低減による利回りの目減りですし、利回り0.2%のものにはオプションによる資金拘束のリスク分だけ利回りが改善してると考えることができます。

この辺は人によってリスクをどう考えるかで良し悪しは変わってくるでしょう。

次に保険などのより長期間資金拘束される場合の利回りです。

貯蓄型保険

貯蓄型の保険としてわかりやすいのは個人向け年金保険ではないかと思います。

例えば大手生命保険会社である明治安田生命の個人年金保険を例にして考えてみます。35歳から月10,000円を振り込み、65歳までの30年間で360万円積み立てた場合のトータルリターンは4%程度であり、これは年率に直すと0.39%ほどになります。

個人年金保険30年積立のリターン

資金を30年にわたって拘束するというリスクに加え、中途解約すると損するというリスクを受け入れることでリスクフリーレート0.05%よりも大きな利回りが期待できます。

といっても30年も資金拘束して年利0.39%程度という雀の涙ほどの利回りですが。最終的な返戻率が120%!などと数十年にわたる総リターンを強調されることがありますが、大体の場合年利に直すと1%未満の利回りになるのではないでしょうか。

ということで元本保証では年利が0.05%を軸に、元本を棄損するというリスク以外に資金拘束などのリスクを受け入れることで最大0.5%前後の利回りを確保できるということがわかりました。つまり、この0.05%~0.5%が元本保証の価値といえるかもしれません。

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元本保証では資産は作れない

結局、リスクとリターンは表裏一体なので、元本保証では絶対に資産は減りませんが絶対に増えることもありません

あとはどれだけリスクを受け入れてリターンを確保していくかということに尽きると思います。

特に保険や定期預金などの元本保証には、いざというときにお金を使えないといった忘れられがちなリスクが存在します。

『キャッシュ イズ キング』という言葉があるように現金はいざというときに最も強い資産なります。

日本における元本保証の商品には、中途半端に利回りを追い求めるくらいなら現金として保有しておく方が圧倒的に有利なのではないかという程度の利回りしかありません。

また、インフレ率を考慮すると全くお得でないという可能性もあるので注意が必要です。一方、日本がデフレに陥ると考えればデフレ対策としては効果的かもしれません。

『元本保証でお金が増える』は一見魅力的なキーワードですが、一度立ち止まってその役割と価値を自分なりに考えてみることが必要ではないでしょうか。